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集計・確認の手間を軽減!大学事務の提出物回収・管理を効率化するデジタルツール活用術

Tags: 大学事務, DX, 業務効率化, 提出物管理, デジタルツール

大学事務の提出物回収・管理:日々の業務における隠れた負担

大学事務の現場では、学生や教職員から様々な提出物を回収・管理する業務が日々発生しています。例えば、各種申請書類、アンケート回答、研究活動の報告書、授業の課題、証明書発行に必要な書類など、その種類は多岐にわたります。

これらの提出物の多くは、かつては紙で受け渡しされ、事務室で仕分け、確認、集計、保管といった一連の作業を手作業で行うのが一般的でした。近年では、メール添付やオンラインストレージへのアップロードといった形での提出も増えていますが、それでも以下のような課題に直面することは少なくありません。

これらの業務は、一見するとルーチンワークに見えますが、件数が増えたり期限が迫ったりすると、大きな負担となり、他の重要な業務に割ける時間を圧迫する要因となります。大学のデジタル変革(DX)は、このような提出物回収・管理業務においても、大きな効率化の可能性を秘めています。

DXによる提出物回収・管理の効率化:デジタルツールの活用

提出物回収・管理業務の効率化に役立つデジタルツールはいくつか存在します。これらのツールを適切に組み合わせたり活用したりすることで、手作業による負担を大幅に減らし、よりスムーズで確実な管理を実現できます。代表的なツールとその活用法をご紹介します。

1. フォーム作成ツール

アンケート回答、調査票、簡単な申請情報など、入力内容が決まっている提出物を回収するのに非常に有効です。

Google FormsやMicrosoft Formsといった多くの大学で利用可能なツールから、SurveyMonkeyのような専門的なツールまで、目的に応じて選択できます。これらのツールを使えば、紙の配布・回収・手入力といった手間がなくなり、集計作業も自動化されるため、大幅な時間短縮につながります。

2. クラウドストレージ

学生や教職員が作成したファイル(レポート、報告書、画像ファイルなど)を提出してもらう際の共通の受け皿として活用できます。

Google Drive、Microsoft OneDrive、Dropboxなどが代表的です。提出先となる共有フォルダを明確にし、ファイル名の規則などを事前に周知することで、提出後のファイルの整理・確認作業が効率化されます。また、物理的な媒体(USBメモリなど)での受け渡しや、容量の大きいファイルをメールで送受信する手間を省くことができます。

3. ワークフローシステム

提出された書類や情報に基づいて、承認や確認といった一連のプロセスが発生する業務に適しています。

紙での申請書提出・回覧や、メールでのやり取りで行っていた承認プロセスをシステム上で完結できます。誰に提出され、誰が承認待ちなのかが一目で分かり、滞留を防ぐことにもつながります。導入には組織全体の検討が必要な場合もありますが、定型的な申請業務が多い部署では大きな効果が期待できます。

デジタルツール導入・活用のためのステップとポイント

提出物回収・管理業務の効率化に向けてデジタルツールを導入・活用する際は、以下の点を考慮すると良いでしょう。

  1. 対象業務の選定: まずは、頻繁に発生し、かつデジタル化の効果が見込みやすい特定の提出物回収・管理業務を選びましょう。例えば、学生からのアンケート回収や、教職員からの簡単な調査票提出など、比較的小規模なものから始めるのがおすすめです。
  2. 課題の明確化: 選定した業務において、現状のどのような点に最も課題を感じているのか(例:提出状況の把握が大変、集計に時間がかかる、提出漏れが多い)を具体的に洗い出します。
  3. ツールの比較検討と選択: 明確になった課題の解決に最も適したツールは何かを検討します。フォームツールで十分なのか、ファイル提出が必要なのか、承認プロセスが必須なのかなど、業務内容に合わせて選択します。大学で既に利用可能なツール(Office 365やGoogle Workspaceに含まれるものなど)から検討を始めると、導入のハードルが低い場合があります。
  4. 利用ルールの策定と周知: ツールを使って提出してもらう際のルール(例:ファイルの命名規則、提出期限、提出先URLなど)を明確に定め、提出者(学生、教職員など)に分かりやすく周知することが重要です。
  5. 段階的な導入と効果測定: 最初は特定の部署や特定の提出物に限定してツールを導入し、運用しながら改善点を見つけます。導入後にどの程度業務時間が削減されたか、提出漏れは減ったか、といった効果を測定することで、さらなる展開の参考にできます。

まとめ:提出物管理のDXで業務効率化の第一歩を

大学事務における提出物回収・管理業務は、デジタルツールを活用することで、手作業による煩雑さを解消し、業務効率を大きく向上させることが可能です。フォーム作成ツールによる自動集計、クラウドストレージによるファイル管理、ワークフローシステムによるプロセス自動化など、それぞれのツールが持つ強みを活かすことで、提出状況の把握、未提出者への対応、情報の整理・集計といった様々な手間を軽減できます。

DXと聞くと大掛かりなシステム導入を想像されるかもしれませんが、提出物回収・管理においては、既に多くの大学で利用可能な既存のデジタルツールから効果的な活用を始めることができます。まずは、日々の業務の中で最も負担に感じている提出物管理の小さな課題から、デジタルツールでの解決を検討してみてはいかがでしょうか。一歩ずつ取り組みを進めることで、業務の負担を減らし、より生産的な時間の使い方が実現できるでしょう。