大学事務の経費精算が変わる!システム導入で実現する効率化とメリット
大学事務の経費精算業務、こんな課題はありませんか?
日々の大学事務において、経費精算業務は避けて通れないものです。申請書の作成、領収書の糊付け、承認印を求めての回覧、そして経理部門での手作業による入力や確認。これらのプロセスに、多くの時間と手間がかかっていると感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、以下のような課題を感じている場合、現在の経費精算プロセスは見直しの時期を迎えているかもしれません。
- 紙の申請書が部署内で滞留し、承認に時間がかかる
- 領収書の管理や紛失リスクが高い
- 申請内容の不備が多く、差し戻しや確認に追われる
- 手作業によるデータ入力でミスが発生しやすい
- 月末月初など、特定の時期に経費精算業務が集中し、他の業務を圧迫する
- 経費規程の確認や計算が煩雑
このような状況は、申請者である教職員、承認を行う上司、そして最終的に精算・処理を行う事務職員それぞれの負担を増大させています。ここで、大学DXの観点から注目されているのが、「経費精算システム」の導入です。
経費精算システムとは?
経費精算システムとは、経費の申請、承認、精算、会計処理までの一連のプロセスをデジタル化し、効率化するためのツールです。多くの場合、パソコンやスマートフォンからインターネット経由で利用できるクラウド型のサービスとして提供されています。
主な機能としては、以下のようなものがあります。
- 経費申請書の作成: 交通費、出張費、交際費など、様々な種類の経費申請をシステム上で行います。経路検索と連動して交通費を自動計算する機能や、過去の申請を複製する機能などがあります。
- 領収書の管理: スマートフォンなどで領収書を撮影し、画像データをシステムにアップロードして管理できます。原本提出が不要になるケースもあります。
- 承認ワークフロー: 申請された経費は、システム上で設定された承認経路に従って自動的に回覧されます。承認者はシステム上で内容を確認し、承認または差し戻しを行います。
- 規程チェック機能: 設定された経費規程に基づき、申請内容に不備がないか自動的にチェックする機能です。
- 仕訳データの作成: 承認された経費データから、会計システムに取り込める形式(仕訳データ)を自動的に作成します。
- その他: 外貨計算、仮払い管理、法人カード連携など、様々な機能を持つシステムがあります。
経費精算システム導入で業務はこう変わる
経費精算システムを導入することで、紙ベースの運用と比較して、多くの業務効率化とメリットが生まれます。
申請者(教職員・事務職員)側の変化
- いつでもどこでも申請可能: パソコンやスマートフォンから、時間や場所を選ばずに経費申請ができます。
- 申請入力の負担軽減: 経路自動計算や過去データ参照などにより、入力ミスを減らし、申請書作成の時間が短縮されます。
- 領収書管理の簡略化: スマートフォンで撮影・アップロードするだけで済むため、糊付けや紛失の心配が減ります。
承認者(上司)側の変化
- 承認作業の迅速化: システム上で申請内容や領収書画像を簡単に確認でき、場所を選ばずに承認作業が行えます。
- 申請状況の可視化: 誰が何を申請しているか、どこで承認が止まっているかなどがシステム上で一目で確認できます。
経理・管財担当者(事務職員)側の変化
- 入力作業の削減: 申請・承認されたデータがそのままシステムに残るため、手作業での再入力が不要になります。
- 確認・監査の効率化: システム上で申請データと領収書画像をまとめて確認できます。規程チェック機能により、不備のある申請が減ります。
- 仕訳作成の自動化: 会計システム連携機能があれば、仕訳作成の手間が大幅に削減されます。
- ペーパーレス化の推進: 紙の申請書や領収書の物理的な保管スペースや管理コストを削減できます。
大学全体のメリット
- コスト削減: 申請・承認・処理にかかる人件費や、印刷代、保管費用などを削減できます。
- 内部統制・ガバナンス強化: 経費規程に基づいたチェック機能や、データの追跡可能性により、不正防止や適切な経費処理体制を強化できます。
- 生産性向上: 経費精算にかかっていた時間を削減し、本来注力すべき他の業務に時間を充てることができます。
導入に向けて検討すべきポイント
経費精算システムは多くのメリットをもたらしますが、導入にあたってはいくつかの重要なポイントを検討する必要があります。
- 自学の経費規程への対応: 大学独自の複雑な経費規程や申請ルールに対応できる柔軟性があるかを確認します。特に、旅費規程など細かな設定が必要な項目に注意が必要です。
- 既存システムとの連携: 現在利用している会計システムや人事システムなどとデータ連携が可能かを確認します。連携できることで、仕訳入力や振込データ作成の手間が大幅に削減されます。
- 操作性: システムを利用するのは、ITに慣れている職員だけでなく、新しいツールに抵抗がある教職員も含まれます。誰にとっても直感的で分かりやすい操作画面であるか、デモなどを通じて実際に触ってみることが重要です。
- セキュリティ: 学生や教職員の個人情報、そして大学の財務情報を取り扱うため、システムのセキュリティ対策が十分であるかを確認します。クラウド型の場合は、提供事業者のセキュリティ基準や認証などを確認します。
- サポート体制: 導入時や運用中に不明点やトラブルが発生した場合のサポート体制(電話、メール、チャット、FAQなど)が充実しているかを確認します。
- コスト: 初期導入にかかる費用、月額の利用料、カスタマイズ費用などを考慮し、予算に見合うか検討します。利用人数によって料金が変わる場合が多いです。
- 導入形態: クラウド型かオンプレミス型かを選択します。多くの大学では、導入・運用負荷が少なく、インターネット環境があれば利用できるクラウド型が主流となりつつあります。
これらのポイントを十分に検討し、自学の課題やニーズに最も合ったシステムを選ぶことが成功の鍵となります。
まずは何から始めるべきか
経費精算システムの導入は、経費精算業務に関わる全ての部署に影響を与えるため、情報収集から慎重に進めることが大切です。
- 現状業務の課題分析: 現在の経費精算プロセスにおける具体的な課題(どこに時間がかかっているか、どのようなミスが多いかなど)を洗い出します。
- 情報収集: 複数の経費精算システムについて、ウェブサイトや資料請求を通じて情報を集めます。大学での導入事例があるかどうかも参考になります。
- 比較検討: 集めた情報を基に、前述の検討ポイントに照らし合わせて、複数のシステムを比較検討します。
- デモンストレーション/トライアル: 興味を持ったシステムについては、提供事業者にデモをお願いしたり、無料トライアルを利用して実際の操作性などを確認します。
- 学内関係者との情報共有: 経費精算に関わる経理部門、各学部・部署の事務担当者、IT担当部署などと情報共有を行い、協力を得る準備を進めます。
経費精算システムの導入は、一見すると大きな変化に感じられるかもしれませんが、大学事務の生産性を向上させ、教職員全体の負担を軽減するための有効なDX推進策の一つです。まずは小さな一歩として、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。