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大学事務の資料作成が変わる!共同編集ツールの基本と活用例

Tags: 大学事務, DX, 資料作成, 共同編集, 業務効率化, クラウドツール

はじめに:資料作成業務の新たな課題と解決策

大学事務においては、学部説明会資料、会議資料、学生向けの配布物など、多岐にわたる資料作成が日常的に行われています。これまで多くの場面でMicrosoft WordやPowerPointといったツールが活用されてきましたが、これらのツールを複数人で共同で編集・管理する際には、以下のような課題が生じやすい状況です。

これらの課題を解決し、資料作成業務をより効率的かつスムーズに進めるための有効な手段として、「共同編集ツール」の活用が注目されています。

共同編集ツールとは

共同編集ツールとは、インターネット上のストレージ(クラウド)に保存されたドキュメントファイルを、複数のユーザーが同時に、または非同期で編集できるツールの総称です。代表的なものとしては、Google Workspace(Google ドキュメント、Google スライドなど)やMicrosoft 365(Word Online、PowerPoint Onlineなど)に含まれる機能があります。

これらのツールは、従来のデスクトップアプリケーションとは異なり、主に以下の特徴を備えています。

これらの機能により、前述したバージョン管理の課題や修正集約の手間を大幅に軽減することが期待できます。

共同編集ツールの基本的な活用例

共同編集ツールには、資料作成プロセスを効率化するための便利な機能が多数搭載されています。ここでは、大学事務の現場で特に役立つ基本的な活用例をいくつかご紹介します。

1. 複数人での同時編集

最も基本的な機能であり、最大の特長です。例えば、説明会資料の作成を複数の部署で分担している場合、各担当者が同時に異なるスライドやセクションの編集を進めることができます。これにより、資料完成までの時間を大幅に短縮できます。お互いの編集内容がリアルタイムで見えるため、整合性の確認や重複作業の回避にも役立ちます。

2. コメント機能と提案機能

資料の内容についてフィードバックを行いたい場合、特定の箇所を選択してコメントを挿入できます。コメントに対して返信したり、コメント解決済みとして閉じたりすることも可能です。また、元の文章を直接編集するのではなく、「提案」として修正案を提示し、元の作成者がその提案を承認または拒否することもできます。これにより、修正依頼や議論のプロセスが明確になり、後から変更履歴を追うことも容易になります。

3. バージョン履歴の確認と復元

「気づかないうちに重要な箇所を削除してしまった」「以前の版の方が良かった」といった状況は、共同編集において起こり得ます。共同編集ツールでは、ファイルの作成以降のすべての変更履歴が自動的に記録されています。いつ、誰が、どのような変更を加えたのかをタイムラインで確認でき、必要であれば特定の時点の状態にファイルを復元することも可能です。これにより、安心して共同作業を進めることができます。

4. 権限設定による情報管理

ファイルを共有する際に、「閲覧のみ」「コメント可」「編集可」といった詳細な権限を設定できます。特定の関係者には編集権限を与え、その他の関係者には閲覧権限のみを与えるといった使い分けが可能です。これにより、情報の意図しない改変を防ぎつつ、必要な相手に必要な情報を提供できます。

5. テンプレートの活用

よく使う資料の形式(例:会議資料のテンプレート、報告書のテンプレート)を事前に作成しておき、それを複製して利用することで、ゼロから資料を作成する手間を省けます。テンプレート自体を共同編集ツールで管理すれば、テンプレートの更新も容易になり、常に最新のテンプレートをチーム全体で共有できます。

大学事務における具体的な活用シーン

これらの機能を踏まえ、大学事務の様々な業務で共同編集ツールは有効に活用できます。

導入・活用へのステップと注意点

共同編集ツールを導入・活用する際は、以下の点を考慮するとスムーズです。

  1. ツールの選定: 既に大学で契約しているクラウドサービス(例:Google Workspace for EducationやMicrosoft 365 Educationなど)に含まれている共同編集機能から試してみるのが最も手軽です。
  2. 少人数でのスモールスタート: まずは部署内の特定のチームや、特定の資料作成プロジェクトで試験的に導入し、操作に慣れることから始めます。
  3. 基本的な研修・説明: ツールを使ったことのない職員向けに、基本的な機能(ファイルの作成、共有、同時編集、コメント、バージョン履歴)に関する簡単な操作説明会やマニュアルを用意すると、導入が進みやすくなります。
  4. 情報セキュリティへの配慮: ファイルの共有設定を行う際は、公開範囲を適切に設定することが非常に重要です。機密情報が含まれる資料の場合は、共有相手を限定する、編集権限を絞るといった配慮が必要です。

共同編集ツールの活用は、単に資料作成の手間を減らすだけでなく、情報共有のスピードを上げ、部署間の連携を強化することにもつながります。

まとめ

大学事務における資料作成業務は、共同編集ツールを導入することで、バージョン管理の煩雑さ、修正集約の手間、情報共有の遅延といった従来の課題を大きく改善できます。同時編集、コメント機能、バージョン履歴、権限設定といった基本的な機能を理解し、まずは身近な資料作成から活用を始めてみることは、DX推進の一歩として非常に有効です。

資料作成プロセスの効率化は、業務時間の短縮につながり、より付加価値の高い業務に集中するための時間を作り出します。ぜひ、共同編集ツールの活用を検討してみてはいかがでしょうか。