大学オンライン授業支援を効率化!事務負担を減らすツールと活用法
オンライン授業支援における大学事務の役割と負担増
近年、多くの大学でオンライン授業が導入され、教育の形態は大きく変化しました。これに伴い、大学事務職員の皆様の業務内容も変化し、新たな負担が増加していると感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
オンライン授業を円滑に進めるためには、教員だけでなく、その裏側を支える事務部門の協力が不可欠です。授業で使用するツールの設定支援、学生からの問い合わせ対応、教材・資料の配布サポート、課題提出方法の案内など、多岐にわたる業務が発生しています。特に、これまで対面で行っていた説明や配布物をオンラインに移行する際、方法やツールに慣れていない場合、かえって手間が増えることも少なくありません。
このような状況の中、いかに効率的にオンライン授業支援業務を進めるかが、大学事務における重要な課題の一つとなっています。
オンライン授業支援で役立つツールの活用例
オンライン授業支援の効率化には、適切なツールの活用が鍵となります。既に多くの大学で導入されている、あるいは無料で利用できるツールの中にも、オンライン授業支援業務を大幅に効率化できるものがあります。ここでは、いくつかの具体的なツールと活用法をご紹介します。
1. 学生への情報伝達と質疑応答の効率化:コミュニケーションツール
授業に関する連絡や学生からの質問対応は、オンライン環境では特に煩雑になりがちです。メールでの個別対応には限界があり、情報伝達の漏れや確認の手間が発生しやすいという課題があります。
- 活用ツール例: Microsoft Teams, Slack, Google Chatなど
- 活用法:
- 授業ごとのチャンネル/スペース設定: 授業科目やクラスごとに専用のチャンネルやスペースを作成し、教員と学生、あるいは事務職員も交えた情報共有の場とします。これにより、特定の授業に関する連絡や質問が集中し、他の情報に埋もれることを防げます。
- FAQチャンネルの設置: よくある質問とその回答をまとめたチャンネルやスレッドを作成します。学生はまずFAQを確認することで自己解決を促し、事務職員への問い合わせ数を減らすことが期待できます。
- オフィスアワーの可視化: 教員や事務職員が学生からの質問に対応できる時間(オフィスアワー)を共有カレンダー機能で表示し、学生が適切なタイミングでコンタクトを取れるように促します。
これらのツールを活用することで、メールに比べてリアルタイムでの情報共有が容易になり、履歴も確認しやすいため、学生・教員・事務職員間のコミュニケーションがスムーズになります。
2. 教材・資料配布と課題回収の簡素化:ファイル共有・フォーム作成ツール
授業で使う資料を学生に配布したり、学生から提出される課題を回収したりする業務も、オンラインでは適切な方法が必要です。
- 活用ツール例: OneDrive, Google Drive, SharePoint, Dropbox Businessなど(ファイル共有) / Microsoft Forms, Google Formsなど(フォーム作成)
- 活用法:
- クラウドストレージでの資料共有: 授業資料や参考資料をクラウドストレージにアップロードし、学生に共有リンクを知らせることで、個別にメール添付する手間が省けます。アクセス権限を設定すれば、特定の学生グループのみに共有することも可能です。
- フォームツールでの課題提出受付: 課題提出用にフォームを作成し、ファイルアップロード機能を活用します。提出された課題はスプレッドシートなどに自動的に集計されるため、回収状況の確認や管理が容易になります。簡単な小テストやアンケートにも活用できます。
- 既存LMSとの連携: 多くのクラウドストレージやフォームツールは、大学で利用しているLMS(学習管理システム)と連携できる場合があります。連携機能を使うことで、よりスムーズな運用が可能になります。
紙媒体での配布や回収に比べて、印刷コストや手作業での管理負担が大幅に削減されます。
3. ツール利用に関する問い合わせ対応の効率化:FAQ作成・チャットボット
オンライン授業で新しいツール(Web会議システム、LMSの一部機能など)を使う際、教員や学生から操作方法に関する問い合わせが増えることがあります。
- 活用ツール例: FAQシステム、チャットボット、共有ドキュメントツール(Confluence, Notionなど)
- 活用法:
- よくある質問(FAQ)の整備: オンライン授業関連ツールに関するよくある問い合わせ内容と回答をFAQとしてまとめ、ウェブサイトやポータルサイトに掲載します。分かりやすい説明とスクリーンショットを含めることで、利用者が自己解決できるようサポートします。
- チャットボットの導入検討: より高度な支援として、チャットボットを導入し、簡単な問い合わせには自動で応答させることも考えられます。これにより、事務職員が対応する問い合わせ件数を減らすことができます。
- 共有ドキュメントでの手順書作成: 各ツールの具体的な利用手順やトラブルシューティングを、共同編集可能なドキュメントとして作成・管理します。教員や学生が必要な情報にいつでもアクセスできるようにすることで、問い合わせの削減につながります。
これらの対策により、一つ一つの問い合わせに個別に対応する負担を減らし、より複雑な問題への対応に時間を充てることが可能になります。
DX推進のための小さな一歩:まずは既存ツールから
これらのツール活用は、必ずしも新しい高額なシステム導入を意味するものではありません。多くの大学では、既にMicrosoft 365やGoogle Workspaceといった包括的なクラウドサービスを契約しており、その中にオンライン授業支援に役立つ様々なツールが含まれています。
まずは、現在利用可能なツールの中から、ご紹介したようなコミュニケーション、ファイル共有、フォーム作成などの機能を試してみてはいかがでしょうか。例えば、学内の誰もが使える共有フォルダを作成し、授業関連資料を試験的に置いてみる、部署内の情報共有にチャットツールの一部の機能を使ってみるなど、小さなステップから始めることができます。
また、ツールを使う上で不明な点があれば、まずはそのツールのヘルプドキュメントを参照したり、学内のIT担当部署に相談したりすることも重要です。すぐに全てをデジタル化することは難しくても、日々の業務の中で少しずつ便利な機能を取り入れていくことが、結果として大きな効率化につながります。
まとめ:オンライン授業支援の負担軽減に向けて
オンライン授業の定着は、大学事務の皆様に新たな業務負担をもたらしているかもしれません。しかし、適切なツールを活用し、業務の進め方を見直すことで、この負担を軽減し、より効率的に授業支援を行うことが可能です。
今回ご紹介したコミュニケーションツール、ファイル共有ツール、フォーム作成ツールなどは、その一部にすぎません。大学の状況や業務内容に合わせて、最適なツールを選び、活用していくことが重要です。
まずは、ご自身の担当業務でオンライン化・効率化できそうな部分を見つけ、既存のツールでできることから小さく始めてみてください。少しずつでもデジタルツールを活用していくことで、オンライン授業支援業務は確実に効率化され、本来注力すべき教育支援や学生サービスに、より多くの時間を充てることができるようになるでしょう。大学のDX推進は、皆様一人ひとりの日々の業務改善から始まります。