大学事務の新しい働き方:テレワーク・ハイブリッドワークで効率を落とさないコツ
大学事務におけるテレワーク・ハイブリッドワークの現状と課題
近年の社会情勢の変化に伴い、大学においてもテレワークやオフィスワークと組み合わせたハイブリッドワークが導入される機会が増えています。これにより、職員の通勤負担軽減や多様な働き方の実現といったメリットが期待される一方、大学事務においては特有の課題に直面することも少なくありません。
例えば、紙ベースの資料や申請書が多く、物理的な出勤が必要になるケース。対面での情報共有や打ち合わせが減り、コミュニケーションが難しくなったと感じるケース。また、自宅などオフィス以外の環境で、どのように効率的に業務を進めれば良いのか戸惑うケースもあるでしょう。
これらの課題を克服し、テレワークやハイブリッドワーク環境でも業務効率を維持・向上させるためには、デジタルツールを効果的に活用し、働き方そのものを少し見直すことが重要になります。
テレワーク・ハイブリッドワーク効率化の基本的な考え方
オフィス以外の場所で働く際に効率を維持・向上させるためには、いくつかの基本的な考え方があります。
まず、情報の「見える化」と一元化です。誰が、いつ、どのような業務を行っているのか、必要な情報がどこにあるのかが分かりにくいと、無駄な問い合わせや確認が増えてしまいます。業務状況や情報を共有プラットフォームに集約することが有効です。
次に、非同期コミュニケーションの活用です。オフィスにいればすぐに声をかけられますが、テレワークではそうはいきません。チャットやメールなど、相手の都合の良い時に確認・返信できる非同期コミュニケーションを上手に使い分けることで、業務の中断を減らし、自身の作業に集中する時間を確保できます。
そして、デジタルツールの適切な使い分けです。目的や内容に応じて、オンライン会議ツール、チャットツール、ファイル共有ツール、タスク管理ツールなどを適切に選択し、それぞれの機能を最大限に活かすことが効率化の鍵となります。
テレワーク・ハイブリッドワークを支える具体的なツールと活用法
ここでは、大学事務の業務で役立つ具体的なデジタルツールと、テレワーク・ハイブリッドワーク環境での活用方法をご紹介します。
コミュニケーションと情報共有
- チャットツール(例: Microsoft Teams, Slack)
- 活用法: ちょっとした確認や報告、チーム内での気軽な相談などに利用します。メールよりも早く手軽に情報共有ができます。グループチャット機能を使えば、特定のプロジェクトや部署内の情報共有を効率的に行えます。絵文字やスタンプを適度に使用することで、テキストだけでは伝わりにくいニュアンスや雰囲気も補うことができます。
- テレワークでのメリット: オフィスに人がいなくてもリアルタイムに近いコミュニケーションが可能になります。他の人の状況を把握しやすくなり、孤独感の軽減にも繋がります。
- オンライン会議ツール(例: Zoom, Microsoft Teams, Google Meet)
- 活用法: 定例会議、打ち合わせ、担当者間の詳細な相談などに利用します。画面共有機能を活用すれば、資料を見ながらスムーズに説明や議論ができます。事前にアジェンダ(議題)と所要時間を明確にし、時間内に議論を終える工夫をすることで、対面会議以上の効率を目指せます。
- テレワークでのメリット: 移動時間なく、遠隔地の関係者とも簡単に打ち合わせができます。会議室の予約や移動の手間が省け、時間の有効活用に繋がります。
- 共有ファイルストレージ(例: OneDrive, Google Drive, SharePoint Online)
- 活用法: 業務で利用するファイルをクラウド上に保管し、関係者と共有します。ファイルの共同編集機能を使えば、複数人で同時に一つの資料を作成・修正できます。アクセス権限を設定することで、情報のセキュリティも確保できます。
- テレワークでのメリット: どこからでも最新のファイルにアクセスできます。紙の書類を持ち帰る必要がなくなり、情報紛失のリスクも減らせます。
タスク・進捗管理
- タスク管理ツール(例: Microsoft Planner, Trello, Asana)
- 活用法: 自身のToDoリスト作成だけでなく、チーム全体のタスクやプロジェクトの進捗状況を管理・共有します。誰が何をいつまでに行うのかを明確にすることで、ヌケモレを防ぎ、スムーズな連携が可能になります。期日が近いタスクや遅延しているタスクを視覚的に把握できます。
- テレワークでのメリット: オフィスにいなくても、チームメンバーが今何に取り組んでいるのか、プロジェクト全体の進捗はどうなっているのかを把握できます。報告のための無駄なやり取りを減らせます。
申請・承認業務
- ワークフローシステム(例: 学内導入システム,クラウド型ワークフロー)
- 活用法: 各種申請手続きや稟議をシステム上で行います。申請者はオンラインで申請書を作成・提出し、承認者はシステム上で内容を確認し承認・却下を行います。承認経路を事前に設定しておけば、自動的に次の承認者へ回すことができます。
- テレワークでのメリット: 紙の申請書を持ち運びしたり、承認者の押印のためにオフィスへ出向いたりする必要がなくなります。インターネット環境があればどこからでも申請・承認ができるため、手続きのリードタイムを大幅に短縮できます。
テレワーク・ハイブリッドワークを成功させるための運用上のコツ
ツールを導入するだけでなく、運用方法を工夫することも重要です。
- 明確なルールの設定: 「チャットの返信は○時間以内」「会議の招集時には必ず議題と終了時間を記載する」「ファイル名には日付やバージョンを入れる」など、基本的なルールをチーム内で共有し、徹底することで、無用な混乱を防ぎ、スムーズな連携を促進します。
- 「見える化」の徹底: 個人のタスクやスケジュール、チームで共有すべき情報は積極的に共有ツールに入力します。これにより、お互いの状況を把握しやすくなり、協力体制を築きやすくなります。
- オン/オフの切り替え: テレワークでは仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。始業・終業時間を意識し、休憩時間をしっかりと取るなど、自身で意識的にオンとオフを切り替えることが、集中力の維持と心身の健康のために大切です。
- 意図的なコミュニケーション: オフィスでの「ちょっとした雑談」から重要な情報が得られることもあります。テレワークではこうした機会が減るため、意図的にオンラインで雑談する時間を作ったり、定期的に短いオンラインミーティングで近況を共有したりするなど、コミュニケーションを促進する工夫も有効です。
まとめ:新しい働き方をDX推進の機会に
テレワークやハイブリッドワークは、単に働く場所が変わるだけでなく、これまでの紙ベースの業務プロセスや対面中心のコミュニケーションを見直し、デジタルツールを活用した効率的な働き方へと変革する大きな機会となります。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、ご紹介したようなツールを一つずつ試してみたり、チーム内で小さなルールから設定してみたりすることで、少しずつ新しい働き方に慣れていくことができます。
ぜひ、この機会に日々の業務プロセスを見直し、デジタル技術の力を借りて、より効率的で柔軟な働き方を実現してみてください。大学全体のDX推進の一歩として、まずは身近な業務からデジタル化を進めていくことを応援しています。