効率アップ!大学事務現場でのTeams情報共有活用術
大学事務の情報共有、現状と課題
大学の事務部門では、日々の多岐にわたる業務を遂行するために、正確かつ迅速な情報伝達が欠かせません。しかしながら、現在もなお、内線電話や紙での回覧、個別のメールといった手段が中心となっている部署もあるのではないでしょうか。
このような情報伝達の方法は、以下のような課題につながることが少なくありません。
- 情報が特定の担当者に集中しやすい: 担当者不在の場合、情報が滞ってしまいます。
- 情報が分散し、探すのに時間がかかる: 重要な情報がメールやファイルサーバー、個人のメモなどに散らばってしまい、必要な時に見つけ出すのが困難になります。
- 部署内・部署間の連携にタイムラグが生じる: リアルタイムでの情報共有が難しく、意思決定や対応が遅れることがあります。
- 過去の経緯を追いにくい: 議論の過程や決定事項が記録されにくく、後から振り返ることが困難です。
これらの課題は、業務効率の低下や、教職員間の連携不足、さらには学生サービスへの影響にもつながりかねません。
DXによる解決策:チームコミュニケーションツールの可能性
このような情報共有の課題を解決し、業務効率を飛躍的に向上させるツールとして、「チームコミュニケーションツール」が注目されています。これは、部署やプロジェクトといった特定のグループ内で、リアルタイムのチャット、ファイル共有、ビデオ会議などを一元的に行えるプラットフォームです。
チームコミュニケーションツールを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 情報の集約と可視化: 特定の話題に関するやり取りや関連ファイルが一か所にまとまるため、情報が分散せず、誰でもアクセスしやすくなります。
- 迅速な情報共有と意思決定: チャットによるリアルタイムなコミュニケーションが可能になり、内線電話をするほどではないちょっとした確認や、急ぎの連携がスムーズに行えます。
- 検索性の向上: 過去のやり取りや共有されたファイルをキーワードで簡単に検索できます。
- リモートワーク・ハイブリッドワークへの対応: 場所を選ばずにチームメンバーと連携できます。
- 情報共有の文化醸成: オープンな環境でのやり取りが増えることで、部署内のコミュニケーションが活性化し、お互いを補完し合う関係性が築きやすくなります。
大学事務で活用できるチームコミュニケーションツール:Microsoft Teamsを例に
チームコミュニケーションツールには様々な種類がありますが、多くの大学で既に導入されている可能性のあるMicrosoft 365に含まれる「Microsoft Teams(以下、Teams)」を例に、その基本的な機能と大学事務での具体的な活用方法をご紹介します。
Teamsは、「チーム」という単位でグループを作成し、その中で「チャネル」と呼ばれるスレッドごとに話題を分けて情報共有を進めるツールです。
Teamsの主な機能
- チャット: チーム内や個人間でテキストメッセージをやり取りできます。ファイルや画像の共有も可能です。
- ファイル: チーム内で共有されたファイルが一覧で表示され、共同編集も容易に行えます。
- 会議: オンラインでのビデオ・音声会議を実施できます。画面共有や録画機能も備わっています。
- Wiki/ノート: チームの共通認識事項や議事録などをまとめることができます。
- アプリ連携: 他のMicrosoft 365アプリ(Outlook、SharePoint、Plannerなど)や外部サービスと連携し、機能を拡張できます。
大学事務での具体的な活用事例
Teamsは、大学事務の様々な場面で活用できます。
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部署内の情報共有:
- 例: 〇〇学部事務室チームを作成し、「共通連絡」「教務関連」「学生対応」「庶務」といったチャネルを作成します。
- 活用法: 各チャネルで、日々の連絡事項、共有すべき情報、担当者への質問などをリアルタイムで投稿します。ファイル共有機能を使って、会議資料やマニュアルの最新版を共有し、全員が同じ情報にアクセスできるようにします。これにより、「あの件、誰に聞けば良いんだっけ?」「最新のファイルはどれ?」といった状況を減らすことができます。
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プロジェクトや一時的なタスクでの連携:
- 例: オープンキャンパス準備チーム、〇〇システム導入プロジェクトチームを作成します。
- 活用法: プロジェクト期間中のみのチームを作成し、関係者全員で情報共有や進捗確認を行います。関連ファイルはそこに集約し、オンライン会議機能を使って定期的に打ち合わせを行います。プロジェクト終了後はチームをアーカイブすれば、情報が必要になった際にいつでも振り返ることができます。
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会議準備と議事録共有:
- 例: 定例会議の議題や資料を事前にチームのチャネルに投稿し、参加者が事前に確認できるようにします。
- 活用法: 会議中にTeamsのチャットで補足情報を共有したり、会議後に議事録をチャネルにアップロードしたりします。これにより、会議の効率化と議事録の共有漏れを防ぎます。
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簡単な問い合わせ対応(内部向け):
- 例: 共通的な質問が多い事項について、チーム内でQ&A用のチャネルを設けます。
- 活用法: 質問と回答をそのチャネルに投稿していくことで、同様の質問があった際に過去のやり取りを参照できます。これにより、同じ質問に何度も回答する手間を省き、知識をチーム内で共有できます。
Teams活用の第一歩:スモールスタートのすすめ
チームコミュニケーションツールを導入するにあたり、全ての業務を一度に変える必要はありません。まずは、以下のようなスモールスタートから始めてみることをおすすめします。
- 小さなチームから試す: 一つの部署や、特定のプロジェクトメンバーなど、比較的小さな範囲でTeamsの使用を開始します。
- 特定の目的・課題から始める: 例として「日々の連絡事項の共有」や「会議資料の共有」など、一つの明確な目的から利用を開始します。
- 基本的な機能から慣れる: まずはチャットやファイル共有といった基本的な機能を中心に使い始め、慣れてきたら他の機能も活用していくようにします。
- 簡単なルールを決める: 「どの情報をどこに投稿するか」「ファイル名の付け方」など、利用に関する簡単なルールをチーム内で合意しておくと、後々の混乱を防げます。
操作に不安がある場合は、Microsoftが提供する公式のヘルプドキュメントや、操作方法を解説した動画なども参考にしてみましょう。大学内で既にTeamsを活用している部署があれば、その事例を参考にしたり、情報交換を行ったりすることも有効です。
活用を進める上でのポイント
- 全員が参加しやすい環境を作る: ITツールに慣れていないメンバーがいる場合は、個別サポートを行ったり、簡単な操作マニュアルを作成したりするなど、丁寧なフォローを心がけることが重要です。
- 情報整理のルールを継続的に見直す: チャネルが増えすぎたり、情報が整理されなくなったりしないよう、定期的に運用ルールを見直すことが望ましいです。
- 他のツールとの使い分けを明確にする: メールや学内グループウェアなど、他のツールとの役割分担を明確にすることで、情報の散逸を防ぎます。
まとめ
大学事務における情報共有の課題は、チームコミュニケーションツール、特に多くの大学で利用可能なTeamsを活用することで、大きく改善できる可能性があります。リアルタイムでの情報共有、ファイルの一元管理、円滑な連携といったメリットは、日々の業務効率を向上させ、教職員の負担軽減につながります。
まずは小さなチームや特定の課題から、Teamsを使った情報共有に挑戦してみてはいかがでしょうか。一歩ずつデジタルツールに慣れていくことで、大学事務のDXを自らの手で推進していくことができるでしょう。もしTeamsの導入や活用についてさらに詳しく知りたい場合や、他の大学での具体的な成功事例に関心がある場合は、情報収集を進めることをおすすめします。