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大学事務の定型業務が変わる!自動化ツールで効率を飛躍的に向上させる方法

Tags: 大学DX, 大学事務, 業務効率化, 自動化, RPA, ノーコード, Google Apps Script

大学事務における定型業務の課題

大学事務の現場では、日々の業務の中で繰り返し行う必要のある定型的な作業が多く存在します。例えば、学生や教職員からの申請書類の確認、関連部署への連絡、各種データの集計、報告書の作成など、これらは大学運営に不可欠な業務です。しかし、これらの作業を手作業で行う場合、多大な時間と労力を要し、入力ミスや転記ミスといったヒューマンエラーのリスクも伴います。限られた時間の中でこれらの業務を効率的にこなし、より重要で創造的な業務に時間を割くことは、多くの大学事務職員にとって共通の課題と言えるでしょう。

デジタル変革(DX)が進む中で、この定型業務の効率化を実現する有効な手段として注目されているのが「自動化」です。自動化と聞くと専門的な知識が必要で難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、現在では、ITの専門家でなくとも比較的手軽に導入・活用できるツールが増えています。

自動化とは?大学事務での可能性

大学事務における自動化とは、これまで人が手作業で行っていた繰り返し行う業務や、一定のルールに基づいて判断できる作業を、ITツールやシステムを使って代行させることです。これは、単に特定のシステムを使うだけでなく、複数のツールを連携させたり、PC上での操作を記録・再現させたりすることで実現されます。

自動化によって、これらの定型業務にかかる時間を大幅に削減し、人的ミスを削減することが期待できます。これにより、大学事務職員は、学生対応、教職員とのコミュニケーション、企画業務など、より高度な判断や対人スキルが必要とされる業務に集中できるようになります。

では、具体的にどのような業務が自動化できる可能性があるのでしょうか。いくつかの例を挙げてみます。

これらの例はあくまで一部ですが、日々の業務を改めて見直してみると、自動化によって効率化できる作業が意外と多く見つかるかもしれません。

大学事務で活用できる自動化ツールの種類

自動化を実現するためのツールはいくつか種類があり、それぞれ得意とする領域が異なります。大学事務の現場で比較的導入しやすいツールの種類とその特徴をご紹介します。

  1. RPA (Robotic Process Automation) RPAは、「ソフトウェアロボット」とも呼ばれ、人がコンピューター上で行う操作(クリック、キーボード入力、ファイルの操作など)を記録し、自動的に実行させるツールです。特定のシステムに依存せず、既存のPC操作をそのまま自動化できるため、様々な業務に応用できます。 複雑なプログラミング知識は不要で、比較的直感的な操作でシナリオ(自動化の手順)を作成できるツールもあります。ただし、PCの画面構成や操作手順が変更されると、シナリオの修正が必要になる場合があります。大学で導入されている例としては、学内システムへのデータ入力、ウェブサイトからの情報収集などが挙げられます。

  2. ノーコード/ローコードツール これらのツールは、プログラムコードを書くことなく(ノーコード)、あるいは最小限のコードで(ローコード)、異なるアプリケーションやサービスを連携させて業務プロセスを自動化することを主な目的としています。例えば、「特定のメールが届いたら、その内容をスプレッドシートに自動で追記する」といった連携や、「フォームからの回答があったら、担当者に自動で通知する」といったワークフローを簡単に構築できます。 大学事務でよく利用されるOffice製品(Excel, Outlook)やGoogle Workspace製品(Google Sheets, Gmail, Google Forms)など、様々なサービスとの連携機能を持つツールが多くあります。代表的なものには、Microsoft Power Automate、Zapier、IFTTT、Google Apps Scriptなどがあります。これらのツールは、ウェブベースで操作できるものが多く、ITに不慣れな方でも取り組みやすい点が特徴です。

  3. Office/Google Workspaceの組み込み機能 普段利用しているExcelやWord、Google Sheetsなどにも、実は自動化に役立つ機能が備わっています。

    • マクロ(VBA): ExcelやWordなどのOffice製品で、一連の操作を記録・実行させることができます。繰り返しのデータ整形やレポート作成に利用できます。ただし、VBAはプログラミング言語のため、ある程度の学習が必要です。
    • Google Apps Script (GAS): Google Workspaceの各サービス(Gmail, Google Sheets, Google Docs, Google Formsなど)を連携させたり、機能を拡張したりするためのスクリプトプラットフォームです。JavaScriptベースですが、Googleのサービスと密接に連携しており、特定の操作をトリガーとした自動処理などを比較的容易に実現できます。フォームの回答を自動集計したり、特定の条件を満たしたスプレッドシートの行を自動でメール送信したりといった処理が可能です。

どのツールが最適かは、自動化したい業務の内容、既存のIT環境、予算、そして導入・運用体制によって異なります。

大学事務が自動化を始めるためのステップ

自動化を「特別なこと」ではなく、業務効率化のための「具体的な手段」として捉え、第一歩を踏み出すためのステップをご紹介します。

ステップ1: 自動化したい定型業務を見つける まずは、日々の業務を振り返り、「これは繰り返し手作業で行っているな」「この作業に時間がかかっているな」「この作業はルールが決まっていて、例外が少ないな」といった業務をリストアップしてみましょう。特に、繰り返し頻度が高い業務や、処理件数が多くて時間がかかる業務は、自動化の効果を実感しやすい候補となります。複雑な判断が必要な業務や、イレギュラー対応が多い業務は、最初の自動化対象としては避けるのが無難です。

ステップ2: どのツールが適しているか検討する リストアップした業務内容を踏まえ、前述のツールの中からどれが適しているかを検討します。 * PC上での定型的なマウス操作やキーボード入力を自動化したい場合はRPA。 * 複数のウェブサービスやクラウドサービスを連携させたい場合はノーコード/ローコードツール。 * 既存のExcelやGoogle Sheets内の作業を効率化したい場合は、マクロやGAS。 利用できるライセンスや、IT部門のサポート体制なども考慮に入れて検討を進めましょう。

ステップ3: 小さく始めてみる(スモールスタート) いきなり多くの業務を自動化しようとせず、まずは一つか二つの、比較的小規模で効果が見えやすい業務を選んで自動化に挑戦してみましょう。成功体験を積むことが、次のステップにつながります。ツールによっては、無料トライアル期間が設けられているものや、個人向けの安価なプランがあるものもあります。

ステップ4: 効果測定と改善 自動化を導入したら、期待した効果(時間短縮、ミス削減など)が得られているかを確認します。もし期待通りでなければ、自動化の手順を見直したり、別のツールを検討したりするなど、改善を図ります。この「小さく始めて改善する」というサイクルが、自動化を継続的に活用していく上で重要になります。

導入成功のためのポイントと注意点

自動化をスムーズに進めるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。

まとめ

大学事務における定型業務の自動化は、業務時間の削減、ヒューマンエラーの抑制、そしてより戦略的・創造的な業務への集中を可能にする強力な手段です。RPAやノーコード/ローコードツール、あるいはOffice/Google Workspaceの既存機能など、様々なツールが登場しており、専門的なITスキルがなくても自動化に取り組める環境が整ってきています。

まずは日々の業務の中から「これは自動化できそう」と思える小さな作業を見つけ、利用可能なツールについて情報収集を始めてみてはいかがでしょうか。IT部門に相談したり、他の大学の事例を参考にしたりすることも、取り組みを進める上で役立ちます。自動化の一歩を踏み出すことで、大学事務の働き方は確実に効率化され、変化していくはずです。