大学事務のためのオンライン会議効率アップ術:ツールの基本機能と会議運営のコツ
オンライン会議、最大限に活用できていますか?
大学におけるDX推進は様々な領域で進んでいますが、その中でもオンライン会議は多くの大学で既に日常的なコミュニケーション手段として活用されています。しかし、「会議の準備や調整に時間がかかる」「議事録の共有がうまくいかない」「参加者との情報共有がスムーズではない」といった課題を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
単に「場所を選ばずに会議ができる」だけでなく、オンライン会議ツールが提供する様々な機能を活用することで、会議そのものや、それに付随する業務(事前準備や事後対応)を大幅に効率化することが可能です。
この記事では、大学事務の皆様が日々の業務で直面する会議の課題に対し、オンライン会議ツールの基本的な機能とその活用方法、さらに効率的な会議運営のコツをご紹介します。
オンライン会議ツールの基本的な機能とその活用法
主要なオンライン会議ツール(Microsoft Teams, Zoom, Google Meetなど)には、会議をより円滑かつ効率的に進めるための様々な機能が備わっています。これらの機能を理解し、適切に活用することが、会議効率化の第一歩となります。
1. 画面共有機能
自分のパソコン画面や特定のウィンドウを他の参加者に見せることができます。
- 活用例: 会議資料やプレゼンテーション、関連ウェブサイトなどを参加者全員で確認しながら議論を進められます。資料の事前配布が難しい場合でも、最新の情報共有が可能です。
2. チャット機能
会議中にテキストメッセージやファイルを送受信できます。
- 活用例:
- 会議中に確認したい情報や補足資料のURLなどをリアルタイムで共有できます。
- 質問をチャットに残すことで、議論の流れを妨げずに済みます。
- ファイル共有機能を使えば、会議中に参照すべき資料をその場で配布できます。
3. 参加者管理機能
参加者のミュート/ミュート解除、ビデオのオン/オフ、参加者の承認/拒否などが可能です。
- 活用例: 会議の開始・終了時に参加者の入室を管理したり、発言者以外の音声をミュートしてスムーズな進行を促したりすることができます。
4. 録画・録音機能
会議の内容を記録として残すことができます。
- 活用例: 欠席者への情報共有や、後から会議内容を確認したい場合に役立ちます。議事録作成の参考資料としても利用できます。ただし、録画・録音を行う際は、参加者全員の同意を得ることが重要です。
5. 画面への書き込み・注釈機能(ツールによる)
共有された画面上に線や文字を書き込むことができる機能です。
- 活用例: 共有された資料の特定の箇所を指し示したり、簡単な修正案を書き込んだりする際に便利です。
効率的な会議設定と事前の準備
オンライン会議を成功させるためには、事前の準備が非常に重要です。
- 明確な目的とアジェンダ設定: なぜこの会議を開くのか、何を話し合い、どのような決定をするのかを明確にし、参加者に事前に共有します。これにより、会議中の迷いや脱線を減らせます。
- 必要な資料の事前共有: 会議で参照する資料は、会議ツールのファイル共有機能や共有ドライブなどを利用して、事前に参加者に配布します。会議中に画面共有するよりも、参加者が各自手元で資料を確認できる方が効率的な場合があります。
- ツールの使い方に関する案内: 特に新しい参加者がいる場合や、普段あまり使わない機能を利用する場合は、事前に簡単な使い方や注意点(ミュートの方法など)を伝えておくと親切です。
- 環境の確認: 参加者各自が、インターネット接続、音声・ビデオ機器(マイク、スピーカー、カメラ)、会議ツールが正常に動作するかを事前に確認することを推奨します。
会議中の進行をスムーズにするコツ
- 開始時間・終了時間を厳守: 事前に設定した時間通りに開始・終了することで、参加者の時間を尊重し、集中力を維持できます。
- 司会進行役を明確に: 司会者が議論の流れを管理し、アジェンダに沿って進めることで、効率的な会議運営が可能です。特定の参加者ばかりが話すことを避け、多様な意見を引き出す工夫も有効です。
- チャット機能を活用した質問受付: 議論中に発生した疑問点をチャットに残してもらうことで、発言者の話を中断することなく、後でまとめて回答したり、関連情報を共有したりできます。
- 休憩時間の確保: 長時間になる場合は、適切な休憩を挟むことで集中力を維持できます。
会議後の議事録共有と情報管理
会議で決定した事項や共有された情報は、適切に記録・共有することがその後の業務遂行に不可欠です。
- 議事録作成: 会議の決定事項、確認事項、次回までのアクションアイテムなどを簡潔にまとめます。録画機能を利用した場合は、その記録も議事録と合わせて共有すると、より詳細な情報を補完できます。
- 議事録の共有: 作成した議事録は、参加者全員がアクセスできる場所に保存・共有します。会議ツールの共有スペースや、大学内で利用している情報共有ツール、クラウドストレージなどを活用できます。
- 関連資料の一元管理: 会議中にチャットで共有されたファイルや、後から参照する関連資料も、議事録と同じ場所にまとめることで、後からの情報検索が容易になります。
- アクションアイテムの確認: 会議で決定されたタスクや担当者、期日などを議事録に明記し、必要に応じてタスク管理ツールなどで進捗を管理します。
他の大学事務室での取り組み事例(一般的な改善例として)
ある大学の学部事務室では、週次の職員会議をオンラインに移行した際、単に会議形式を変えるだけでなく、以下の点を改善しました。
- 資料の事前共有徹底: 会議の2日前までに全ての資料を共有フォルダに格納することをルール化。
- チャットでの質問・意見受付: 会議中は、すぐに発言しにくい内容や補足情報はチャットで投稿することを推奨。司会者が適宜チャットを確認し、議論に取り入れる。
- 議事録作成と共有の迅速化: 録画機能を活用し、議事録担当者は決定事項やアクションアイテムを中心に簡潔にまとめ、会議終了後数時間以内に共有フォルダにアップロード。
- アクションアイテムの管理: 議事録とは別に、Todoリストとして共有し、次回の会議の冒頭に進捗を確認。
このような取り組みにより、会議時間が短縮され、かつ参加者間の情報共有も密になり、会議後のタスク実行がスムーズになったという報告があります。
まとめ:オンライン会議で会議業務を効率化し、本来業務に集中する時間を創出する
オンライン会議ツールは、単なる代替手段ではなく、大学事務の皆様の会議業務を抜本的に効率化するための強力なツールです。基本的な機能を理解し、事前の準備をしっかり行い、会議中・会議後のフローを工夫することで、会議にかかる時間や労力を削減できます。
会議準備のための資料印刷や配布、会議室の予約・設営、議事録の手渡しといった手間が減り、情報共有もスムーズになることで、本来集中すべき教育・研究支援や事務処理といった業務に、より多くの時間を割くことが可能になります。
まずは、普段利用しているオンライン会議ツールにどのような機能があるのか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。そして、小さな会議からでも良いので、この記事でご紹介したコツを取り入れ、会議の効率化を試してみてください。