大学DX推進ラボ

大学事務のデータ集計が変わる!Excel/Google Sheets効率化の基本

Tags: データ集計, Excel, Google Sheets, 事務効率化, 大学DX

はじめに:データ集計業務の「困った」を解決する第一歩

大学の事務室では、学生の成績データ、履修登録情報、申請書類の集計、経費データなど、日々さまざまなデータの集計業務が発生します。これらの作業は、正確さが求められる一方で、手作業に頼る部分が多く、多くの時間と労力を費やしている現状があるかもしれません。

「このデータとあのデータを突き合わせるのに時間がかかる」「数値を手で入力していたらミスをしてしまった」「急な集計依頼に対応するのが大変」といった経験は、少なくないのではないでしょうか。

このようなデータ集計の課題は、大学全体のデジタル変革(DX)を進める上で、見過ごせないポイントです。DXというと、大がかりなシステム導入をイメージしがちですが、日々の業務で使用している身近なツール、特にExcelやGoogle Sheetsの活用方法を少し見直すだけでも、大きな効率化につながることがあります。

本記事では、大学事務の現場で役立つ、ExcelやGoogle Sheetsを使ったデータ集計の基本的な効率化テクニックをご紹介します。難しい専門知識は不要です。今日から試せることばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。

なぜデータ集計の効率化が重要なのか

データ集計の効率化は、単に作業時間を短くするためだけではありません。そこには、大学事務の質を高め、働く職員の負担を軽減するための重要なメリットがあります。

Excel/Google Sheetsで使える効率化の基本テクニック

それでは、具体的にExcelやGoogle Sheetsでデータ集計を効率化するための基本的なテクニックを見ていきましょう。これらの機能は、多くの職員の方々が普段から使用しているExcelやGoogle Sheetsに標準で備わっています。

1. 基本的な関数で素早く集計する

合計や平均、個数を数えるといった基本的な集計は、関数を使えば手作業よりもはるかに速く正確に行えます。

これらの関数を使いこなすことで、手計算や電卓を使うことなく、素早く集計結果を得られます。

2. 並べ替えとフィルタリングで必要なデータを取り出す

大量のデータの中から特定の情報を見つけたり、特定の条件で絞り込んだりする際には、「並べ替え」と「フィルタリング」機能が非常に有効です。

手作業で一つずつデータを探したり書き出したりする代わりに、これらの機能を使えば、目的のデータに素早くアクセスできます。

3. 条件付き書式で重要なデータを目立たせる

データの集計結果を分かりやすく表示するために、「条件付き書式」を活用しましょう。これは、指定した条件を満たすセルの表示形式(背景色、文字色など)を自動的に変更する機能です。

例えば、 * 試験の点数が特定の基準を下回った学生の点数を赤く表示する * 申請の期限が近づいている行の背景色を変える * 特定の学部や科目のデータを強調表示する

といったことが可能です。これにより、大量のデータの中から注意すべきポイントや重要な情報を一目で把握できるようになります。

4. ピボットテーブルで多様な角度から集計する

ピボットテーブルは、複雑なデータ集計を簡単に行える強力な機能です。元のデータを様々な角度から集計・分析し、クロス集計表を作成できます。

例えば、学生データから「学部別の学生数」「学科別の男女比」「入試区分別の入学者数」といった集計を、マウス操作だけで自由に行うことができます。元のデータに変更があった場合も、更新操作をするだけで集計結果を反映できるため、非常に便利です。

最初は少し難しく感じるかもしれませんが、「行」「列」「値」「フィルター」といった要素をドラッグ&ドロップで配置するだけで集計表ができる、という点を理解すれば、様々な集計に応用できます。

5. VLOOKUP/XLOOKUPで関連データを自動的に参照する(補足)

複数のシートやファイルに分かれたデータを連携させて集計したい場合に役立つのが、VLOOKUP関数や新しいXLOOKUP関数です。例えば、学生番号をキーにして、別のシートにある成績データを自動的に引っ張ってくる、といったことが可能です。

=VLOOKUP(検索したい値, 検索する範囲, 検索範囲の左端から数えて何列目の値を取り出すか, FALSE)

FALSEを指定すると、完全に一致する値だけを検索できます。

最初は少し複雑に感じるかもしれませんが、この関数を使えるようになると、手作業でのデータ転記や照合にかかる時間を大幅に削減できます。まずは簡単な例から試してみることをお勧めします。

6. 入力規則で入力ミスを防ぐ

データ集計以前に、データの入力段階でのミスを防ぐことも効率化には不可欠です。「入力規則」機能を使うと、セルに入力できる値を制限できます。

例えば、 * 特定のセルには数字しか入力できないようにする * あらかじめ定義したリスト(例: 学部名、申請ステータスなど)からしか選択できないようにする(ドロップダウンリスト) * 日付形式以外は入力できないようにする

これにより、入力ミスによる後の集計作業でのエラーを減らし、データ全体の質を高めることができます。

実際の大学事務業務での活用事例

これらの基本テクニックは、大学事務の様々な業務で活用できます。

これらの業務において、手作業で行っていた集計や確認作業を、今回紹介した関数や機能で自動化・効率化できないか考えてみてください。

効率化を進めるためのステップと注意点

データ集計の効率化は、一度にすべてを完璧にする必要はありません。まずは小さな一歩から始めてみましょう。

  1. 課題を特定する: 日々の業務の中で「時間がかかっている」「ミスが多い」「もっと楽にならないか」と感じるデータ集計業務を一つ、具体的に特定します。
  2. 基本テクニックを試す: その業務で使っているExcelやGoogle Sheetsのデータに対して、今回紹介した基本テクニックの中から使えそうなものを一つ試してみます。例えば、SUM関数で合計を出す、フィルタリングで絞り込む、といった簡単なことから始めます。
  3. データの整理と入力ルールの統一: 関数や機能を効果的に使うためには、データの入力方法を統一することが重要です。例えば、学部名の表記ゆれがないか確認したり、日付形式を揃えたりするだけでも、後の集計が格段に楽になります。
  4. 周囲と共有し、協力する: 「こんな方法で集計が楽になったよ」といった情報を同僚と共有してみましょう。一人で抱え込まず、チームで取り組むことで、より大きな効果が期待できます。困ったときには、詳しい同僚に聞いてみるのも良いでしょう。
  5. 情報収集を続ける: ExcelやGoogle Sheetsの関数や機能は非常に豊富です。オンラインのチュートリアル動画や研修などを活用して、少しずつ新しい知識を身につけていくことも大切です。

まとめ:身近なツール活用でDX推進の波に乗る

大学事務におけるデータ集計業務の効率化は、日々の業務負担を軽減し、生産性を向上させる上で非常に重要です。そして、そのための強力なツールは、実は皆さんの目の前にあるExcelやGoogle Sheetsです。

今回ご紹介した基本的な関数や機能を活用するだけでも、手作業による時間のかかる集計から解放され、ミスを減らし、より正確で迅速な情報を提供できるようになります。

データ集計の効率化は、大学全体のDXを推進する上での小さくも確実な一歩です。難しい技術や新しいツールを導入する前に、まずは身近なツールであるExcelやGoogle Sheetsの可能性を最大限に引き出すことから始めてみませんか。

ぜひ、この記事を参考に、日々のデータ集計業務の中で「これ、効率化できるかも?」という視点を持ってみてください。そして、小さなことでも良いので、今日から一つ、新しいテクニックを試してみることをお勧めします。その一歩が、未来のより快適な働き方につながるはずです。