紙や電話でのやり取りを解消!大学事務のための施設不具合報告DX
キャンパス施設の不具合報告、紙や電話での対応に限界を感じていませんか?
大学のキャンパスでは、日々さまざまな場所で施設の不具合や設備の故障が発生します。電球が切れた、エアコンの調子が悪い、ドアノブがぐらつく、壁にひびが入っているなど、その内容は多岐にわたります。これらの不具合に関する報告や修繕依頼の受付、そしてその後の対応進捗管理は、大学事務にとって重要な業務の一つです。
しかし、これらの業務が紙の書類や電話、メールといった手段で行われている場合、以下のような課題が生じやすいのではないでしょうか。
- 報告の不備: 状況や場所が正確に伝わらず、確認に手間がかかる。写真の添付が難しい。
- 受付業務の負担: 電話対応に時間が取られる。聞き間違いやメモの紛失のリスク。
- 進捗管理の煩雑化: 誰がいつ報告を受け、誰に依頼し、今どうなっているのかが一覧で分かりにくい。担当部署との連携に手間がかかる。
- 報告者への連絡不足: 報告した学生や教職員は、その後どうなったか分からず、再度問い合わせが発生する。
- 記録の散逸: 報告内容や対応履歴が部署内で共有されず、後から振り返りや分析が難しい。
これらの課題は、事務職員の負担を増やすだけでなく、修繕対応の遅れにつながり、結果としてキャンパスの利用環境の悪化や、報告者の不満にもつながりかねません。
DXで変わる施設不具合報告の受付・管理
このような課題を解決するために、施設の不具合報告・修繕依頼の受付・管理業務をデジタル化(DX)する取り組みが進められています。DXによって、この業務は以下のように変わります。
- 報告窓口の一本化と利便性向上: いつでもどこでもアクセスできるオンラインの報告フォームを設置することで、報告者は都合の良いタイミングで簡単に報告できます。写真添付も容易になり、状況把握が迅速になります。
- 情報の正確性と一元管理: 報告内容はシステムや共有ツールに直接記録されるため、手書きや口頭による情報の不備や抜け漏れが減ります。全ての報告が一覧で管理され、進捗状況もリアルタイムで確認できるようになります。
- 担当部署との連携強化: 報告が入ると自動的に担当部署に通知が飛ぶように設定したり、報告内容に担当者を紐づけたりすることで、スムーズな連携が可能になります。
- 進捗の可視化と報告者への安心感提供: 報告者は自分の報告の受付状況や対応状況をオンラインで確認できるようになり、問い合わせの削減につながります。
- データ蓄積による分析: どのような不具合が多いか、特定の場所や設備での発生頻度などをデータとして蓄積・分析することで、計画的な修繕や設備投資の検討に役立てることができます。
具体的なDXツールと活用方法
では、具体的にどのようなツールを活用すれば良いのでしょうか。特別なシステムを導入しなくても、身近なツールや比較的安価なサービスで始めることが可能です。
1. 不具合報告の受付フォーム
報告の窓口をオンラインフォームに一本化することは、DXの最初のステップとして非常に有効です。
- 活用ツール例: Google Forms, Microsoft Forms, Typeform, kintoneなどのプラットフォームに付属するフォーム機能
- 活用方法:
- 報告者が必須で入力すべき項目(氏名、所属、連絡先、発生場所、不具合の内容)を設定します。
- 状況把握のために、写真や動画をアップロードできる項目を含めます。
- 報告の種類(例: 電気設備、空調設備、建物構造、衛生設備など)を選択肢から選べるようにすると、後の振り分けが容易になります。
- フォームの回答を自動的にスプレッドシートやデータベースに連携するように設定します。
- フォームへのリンクを学内ポータルサイトや掲示物などで周知します。
- 報告を受け付けたことを知らせる自動返信メールを設定すると、報告者は安心できます。
2. 報告内容と進捗の管理
受付した報告内容を管理し、担当者やステータスを可視化します。
- 活用ツール例: Google Sheets, Microsoft Excel (共有フォルダ), Microsoft Lists, Trello, Asana, kintoneなどの簡易データベース/タスク管理ツール
- 活用方法:
- フォームから連携した情報(または手入力した情報)を一覧で管理します。
- 各行を一つの不具合報告とし、「受付日時」「報告者」「場所」「内容」「担当部署」「現在のステータス(例: 受付済、対応中、完了、保留)」「対応履歴」「完了日時」などの列を設けます。
- 担当部署やステータスでフィルタリングや並べ替えができるように設定します。
- 複数の担当者や部署でこのリストを共有し、誰でも最新の状況を確認できるようにします。
- ステータスが変更された際に、担当者や報告者に自動または手動で通知する仕組みがあるとより効率的です(ツールによる)。
3. 担当部署との連携
報告内容を速やかに担当部署に伝え、対応を依頼します。
- 活用ツール例: Microsoft Teams, Slack, メール
- 活用方法:
- 新しい報告があった際に、担当部署のチャネルやメーリングリストに自動通知されるよう設定します(フォームや管理ツールの機能による)。
- 管理リスト上で担当者をアサインし、その変更が担当者に通知されるようにします。
- チャットツール上で特定の報告に関する詳細なやり取りを行います。
これらのツールは、既に大学で導入されているものの中から選ぶことも可能です。まずは身近なツールで小さく始めてみることを推奨します。
DX推進のステップとポイント
施設不具合報告業務のDXを進めるにあたっては、以下のステップとポイントを参考にしてください。
- 現状業務の把握と課題の洗い出し: 現在の報告受付から完了までのプロセスを職員間で共有し、どこに手間や非効率があるかを具体的に洗い出します。
- 関係部署との連携: 施設管理部署や情報システム部署など、関連する部署と連携し、共通の課題認識とDXの目標を共有します。
- ツールの選定: 既存で利用可能なツールを確認し、今回の目的に合った機能(フォーム作成、データ管理、共有、通知など)を持つものを選びます。使いやすさ、費用、セキュリティも重要な選定ポイントです。
- 小さく始める(スモールスタート): 全学一斉に導入するのではなく、まずは特定の建物や部署、あるいは特定の種類の不具合報告に限定して試行導入します。
- 操作方法の周知とサポート: 学生や教職員向けに報告フォームの利用方法を、事務職員向けに管理ツールの利用方法を分かりやすく案内します。不明点に対応できるサポート体制を整えます。
- 効果測定と改善: 導入後に業務効率がどの程度改善されたか、報告者の満足度は向上したかなどを評価し、ツールの設定や運用方法を見直します。
DXによる業務効率化のメリット
施設不具合報告業務のDXは、大学事務に多くのメリットをもたらします。
- 業務時間の短縮: 紙や電話での対応、手作業での記録・転記、進捗確認の問い合わせ対応といった手間が大幅に削減されます。
- 対応の迅速化: 報告がタイムリーに担当部署に伝わり、状況も正確に把握できるため、修繕対応までのリードタイムが短縮されます。
- 情報の透明性向上: 報告内容、担当者、ステータス、対応履歴などが一元管理・共有されるため、部署内・部署間での情報連携がスムーズになります。
- サービス品質の向上: 報告した学生や教職員が安心して待てるようになり、大学の施設管理に対する満足度向上が期待できます。
- 業務改善への貢献: 蓄積されたデータを活用することで、効率的な予算配分や施設の維持管理計画立案に役立てることができます。
まずは一歩、できることから始めてみましょう
施設の不具合報告業務のDXは、一見難しそうに思えるかもしれませんが、既に普段使っているOfficeソフトの機能や、無料または安価で利用できるクラウドツールを活用して、小さく始めることができます。
紙や電話での煩雑なやり取りをデジタルに置き換えることは、事務職員の皆さんの日々の負担を確実に軽減し、より価値の高い業務に時間を充てることを可能にします。まずは「不具合報告をフォームで受け付ける」という一点からでも良いのです。ぜひ、あなたの部署でも施設不具合報告業務のDXについて検討を始めてみてはいかがでしょうか。