大学DX推進ラボ

大学事務の教職員名簿・連絡先共有をDXで効率化する方法

Tags: 大学事務, DX, 情報共有, 名簿管理, 業務効率化

はじめに:教職員情報の共有、課題を感じていませんか?

大学の事務室では、日々多くの教職員の方々と連携を取りながら業務を進めています。その中で、教職員の方々の正確な所属や役職、連絡先といった情報を把握し、適切に共有することは、円滑なコミュニケーションや業務遂行に不可欠です。

しかし、紙ベースの名簿や、更新が追い付かない内線表、ファイルサーバーの奥深くにあるExcelリストなど、情報の管理方法が分散していたり、更新作業に多くの手間がかかったりしていませんか。必要な情報を「探すのに時間がかかる」「古い情報を見て誤った連絡をしてしまう」といった経験があるかもしれません。

このような教職員情報の管理・共有における課題は、大学事務の業務効率を低下させる一因となります。本稿では、この課題をデジタル技術(DX)で解決し、教職員名簿や連絡先情報の共有を効率化するための具体的な方法とヒントをご紹介します。

教職員情報の管理・共有における従来の課題

多くの大学事務室で共通して見られる、教職員情報の管理・共有に関する課題を整理してみましょう。

これらの課題は、事務職員だけでなく、情報を利用する全ての教職員にとって非効率を生み出しています。

DXで教職員情報の共有を効率化するアプローチ

教職員情報の管理・共有を効率化するためには、デジタルツールやシステムを活用し、情報を一元化、最新化、共有しやすい仕組みを構築することが重要です。具体的なアプローチをいくつかご紹介します。

  1. 学内ポータルサイトやグループウェアの活用:

    • 多くの大学で導入されている学内ポータルサイトやグループウェアには、教職員の所属や連絡先を管理・表示する機能が備わっている場合があります。
    • 人事システムと連携させることで、人事異動などの情報が自動的、あるいは簡易な操作で反映され、常に最新の情報を共有できます。
    • 検索機能が充実しているため、必要な教職員情報を素早く見つけることができます。
    • 部署一覧や組織図といった形で情報を整理して表示することも可能です。
  2. クラウドストレージを活用したデジタル名簿の一元管理:

    • 全学で利用している、あるいは導入を検討しているMicrosoft SharePointやGoogle Driveなどのクラウドストレージを活用し、教職員名簿ファイルを一元管理します。
    • 部署ごとではなく、全学統一のフォーマットで名簿を作成し、特定の共有フォルダに配置することで、「どこに最新情報があるか分からない」という状況を解消します。
    • 共同編集機能を活用すれば、担当者が分担して情報を更新し、リアルタイムに反映することが可能です。ただし、更新ルールを明確に定める必要があります。
    • 閲覧権限や編集権限を適切に設定することで、セキュリティを確保しながら必要な範囲で情報を共有できます。
  3. 簡易的なデータベースや名簿システムの導入:

    • 学内ポータルやグループウェアに適切な機能がない場合、あるいはより高度な管理が必要な場合は、簡易的な教職員名簿システムやデータベースツール(例:Microsoft Lists, Google SheetsとApps Scriptの組み合わせ、あるいはローコード/ノーコードプラットフォームなど)の導入を検討します。
    • これらのツールを活用すれば、部署、役職、内線番号、メールアドレスなどの情報を構造的に管理し、検索やフィルタリングを容易に行うことができます。
    • 更新権限を設定したり、更新履歴を管理したりすることも可能です。

DXによる教職員情報共有のメリット

これらのDXアプローチを導入することで、大学事務室は以下のような具体的なメリットを享受できます。

DX推進のヒント:何から始めるべきか

教職員情報共有のDXは、全学的なシステム導入だけでなく、今あるツールを活用することからでも始められます。

  1. 現状把握と課題の明確化: まずは、現在どのように教職員情報を管理・共有しているか、どのような点に非効率や課題があるかを具体的に洗い出します。部署内で共有されている名簿の数や形式、更新頻度、誰がどの情報にアクセスできる必要があるかなどを整理しましょう。
  2. 共有ルールの見直し: DX化を進める上で、教職員情報の更新を誰が担当し、どのようなプロセスで行うか、どのような情報をどこに集約するかといったルールを明確に定めます。
  3. 利用可能なツールの確認: 現在、大学で契約・利用可能なグループウェア、クラウドストレージ、Office/Googleツールなどの機能を改めて確認します。意外と知られていない便利機能があるかもしれません。
  4. 小規模な試行: まずは一部の部署や特定の種類の情報(例:内線番号リストのみ)で、クラウドストレージでの一元管理やグループウェアの活用を試行してみるのも良い方法です。成功体験を積み重ね、効果を実感することが、全学展開への弾みとなります。
  5. 全学的なシステム導入の検討: 試行の結果や全学的な課題の大きさによっては、人事システムとの連携が可能な学内ポータル機能や専用名簿システムの導入を検討します。この際は、情報システム部門など関係部署と連携しながら進めることが重要です。

まとめ

教職員名簿や連絡先情報の管理・共有の非効率は、大学事務の日常業務に潜む見過ごされがちな課題です。しかし、この部分にDXを導入することで、情報の検索時間短縮、伝達ミスの削減、更新作業の効率化など、目に見える形で業務負担を軽減し、生産性を向上させることが可能です。

まずは現状を把握し、身近なツールから活用を始めることで、教職員情報共有のDXに向けた第一歩を踏み出してみてください。正確かつ迅速な情報共有は、学内の円滑なコミュニケーションを促進し、より良い教育・研究環境づくりにも繋がるはずです。