窓口業務の負担を軽減!大学事務が知っておきたいFAQシステムの活用術
日々の問い合わせ対応、負担になっていませんか?
大学の事務室には、学生、教職員、時には外部の方からも日々様々な問い合わせが寄せられます。「この申請書の書き方を教えてほしい」「〇〇の手続きはどこで行いますか」「学内システムのパスワードを忘れてしまった」「来客用の駐車券はどうすれば手に入りますか」など、内容は多岐にわたります。
これらの問い合わせに対し、職員の方が一つ一つ電話や窓口で対応することは、非常に時間と労力を要します。特に、同じような質問が繰り返し寄せられる場合、その対応は大きな負担となりかねません。限られた時間の中で他の重要な業務を進めるためには、こうした定型的な問い合わせ対応を効率化することが求められています。
デジタル変革(DX)は、このような日常業務の負担を軽減し、より生産的な活動に時間を振り向けるための強力な手段となります。今回は、特に問い合わせ対応の効率化に焦点を当て、「FAQシステム」の基本的な活用方法と、大学事務の現場でどのように役立つのかについて解説します。
FAQシステムとは?大学事務における基本的な役割
FAQシステムとは、「Frequently Asked Questions」(よくある質問)とその回答をまとめて、利用者が自分で情報を探せるように設計されたシステムのことです。ウェブサイトや学内ポータルサイトに組み込まれているのを見かけたことがあるかもしれません。
大学事務におけるFAQシステムの基本的な役割は、以下の通りです。
- 情報集約と一元化: 学生便覧、各種規程、手続き方法、システム利用ガイドなど、様々な場所に散らばっている情報を一箇所に集約し、分かりやすく整理できます。
- 利用者の自己解決促進: 問い合わせをする前に、利用者が自分でシステムを検索して回答を見つけられるようにします。これにより、問い合わせ件数そのものを減らす効果が期待できます。
- 対応品質の均一化: 同じ質問に対して、誰が対応しても同じ正確な情報を提供できるようになります。担当者による回答のばらつきを防ぎ、利用者の満足度向上につながります。
- 職員の負担軽減: 同じ質問への繰り返し対応が減るため、電話や窓口での対応時間が短縮され、職員はより複雑な問い合わせや他の業務に集中できます。
大学事務がFAQシステムを活用する具体的なメリット
FAQシステムを導入・活用することで、大学事務の現場には以下のような具体的なメリットが生まれます。
- 問い合わせ対応時間の削減: よくある質問はシステムが「自動対応」するため、電話や窓口対応にかかる時間を大幅に削減できます。これにより、業務に余裕が生まれます。
- 職員の精神的負担軽減: 繰り返し同じ説明をする手間や、対応に追われるストレスが軽減されます。
- 対応履歴の蓄積と分析: どのような質問が多く寄せられているか、どの情報がよく参照されているかを分析できます。このデータを基に、FAQコンテンツを改善したり、そもそも質問が発生しないように情報発信の方法を見直したりすることも可能です。
- 24時間365日対応: システムが稼働していれば、時間や場所を選ばずに利用者が情報を得られます。夜間や休日など、窓口が開いていない時間帯の自己解決が可能になります。
- 情報伝達ミスの削減: 正確な情報が登録されているため、口頭やメールでの伝達による誤解やミスを防ぎます。
- 新人職員の早期育成支援: 新人職員が対応に迷った際に、FAQシステムを参照することで、スムーズに正しい回答を導き出せるようになります。OJTの負担軽減にもつながります。
どのようなツールを選べば良いか?導入のステップとポイント
FAQシステムには様々な種類があり、機能や費用も異なります。大学事務の現場で導入を検討する際には、以下のステップとポイントを参考にしてください。
- 現状の課題分析: まず、どのような問い合わせが多く寄せられているか、どの対応に時間がかかっているか、といった現状の課題を具体的に洗い出します。これはFAQシステムに登録すべきコンテンツの方向性を定める上で非常に重要です。過去の問い合わせ記録や、職員へのヒアリングが有効です。
- ツールの選定: 大学の規模や予算、必要な機能(検索機能の精度、カテゴリ分けの柔軟性、分析機能、外部システムとの連携可否など)を考慮して、適切なツールを選びます。クラウド型のサービスも多く、比較的低コストかつ短期間で導入できるものもあります。使い慣れたMicrosoft 365やGoogle Workspaceの機能(SharePointの検索機能付きサイト、Googleサイトなど)を工夫して簡易的なFAQサイトを作成するところから始めることも可能です。
- コンテンツ作成: 収集した「よくある質問」とそれに対する「分かりやすい回答」を作成し、システムに登録します。回答は、専門用語を避け、誰にでも理解できるように平易な言葉で記述することが大切です。画像や図解、関連文書へのリンクなども活用するとより親切になります。
- 運用開始と周知: システムへのアクセス方法を学生や教職員に広く周知します。学内ポータルサイトの目立つ場所にリンクを貼ったり、説明会を実施したりすることが効果的です。
- 継続的な改善: 運用開始後も、システムへのアクセス状況、検索キーワード、利用者からのフィードバックなどを分析し、FAQコンテンツの追加や更新を継続的に行います。情報は常に最新の状態に保つことが重要です。
新しいツールの導入や操作に不安を感じるかもしれません。しかし、多くのFAQシステムは、特別な技術的な知識がなくても、まるでWordやExcelを使うような感覚でコンテンツの入力や編集ができるよう設計されています。また、多くのサービス提供事業者は、導入時のサポートや運用に関する相談に乗ってくれますので、積極的に活用してみましょう。
他大学での取り組み事例(イメージ)
例えば、ある大学の事務室では、学生からの履修登録や学費納入に関する問い合わせが多く、特に期間中は窓口が混雑していました。そこで、よくある質問と回答をまとめたFAQシステムを導入し、学内ポータルサイトからアクセスできるようにしました。
導入後、学生が自分で情報を探し、解決できるケースが増加しました。その結果、窓口での対応件数が導入前に比べて3割減少し、職員は個別の複雑な相談や他の事務手続きに時間をかけられるようになりました。また、夜間や休日でも学生が情報を得られるようになったため、「すぐに知りたいことが解決できた」という学生からの声も寄せられています。
このように、FAQシステムは、大学事務の日常的な問い合わせ対応を効率化し、職員の負担を軽減するだけでなく、利用者である学生や教職員の利便性向上にも貢献する有効なツールと言えます。
まず一歩踏み出すために
日々の業務に追われながら、新しいシステムを導入するなんて無理だと感じているかもしれません。しかし、現状のままでは、今後も問い合わせ対応に多くの時間を割かれ続ける可能性があります。
まずは、部署内で「どのような問い合わせが多いか」「その対応にどれくらいの時間がかかっているか」を話し合ってみることから始めてみませんか。現状の課題を具体的に把握できれば、それを解決するための手段としてFAQシステムが有効であるかどうかの判断がしやすくなります。
次に、インターネットで「FAQシステム 大学」「学内 FAQツール」といったキーワードで情報収集をしてみましょう。無料またはトライアル期間のあるツールから試してみるのも良い方法です。
FAQシステムの導入は、大学事務の働き方をより効率的で快適なものに変える第一歩となるはずです。