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大学事務の押印・署名業務が変わる!電子署名・電子契約の基本と活用例

Tags: 電子署名, 電子契約, ペーパーレス, 業務効率化, 大学事務, DX

大学事務における押印・署名業務の課題

大学の事務職員の皆様は、日々の業務の中で多くの書類に押印や署名が必要となる場面に直面されていることと思います。例えば、学生の申請書類、教職員の各種手続き、外部機関との契約書など、多岐にわたります。これらの押印・署名に関わる業務には、次のような課題が挙げられます。

これらの課題は、事務職員の皆様の業務効率を低下させ、本来注力すべき業務から時間を奪っています。大学DXを進める上で、このような伝統的な手続きを見直すことは非常に重要です。

電子署名・電子契約とは

大学の押印・署名業務の課題を解決する有効な手段の一つが、「電子署名」やそれを用いた「電子契約」の導入です。

電子署名とは、電磁的記録(電子ファイル)に対して行われる措置であり、主に以下の2つの機能を持っています。

  1. 本人性の証明: その電子ファイルが、間違いなく本人の意思に基づいて作成・承認されたものであることを証明します。
  2. 非改ざん性の証明: その電子ファイルが、電子署名が付与された後に改ざんされていないことを証明します。

これにより、紙の書類における署名や押印と同等、あるいはそれ以上の信頼性を電子ファイルに付与することができます。電子署名が施された電子ファイルは、多くの場合、紙の書類と同じように法的な有効性が認められます(対象となる書類の種類や法律によって異なる場合があります)。

電子契約とは、この電子署名を用いて行う契約締結の方法です。紙の契約書に押印・署名する代わりに、電子ファイル(PDFなど)に電子署名を付与することで契約を締結します。

電子署名・電子契約で大学事務業務はどう変わるか

電子署名・電子契約の導入は、大学事務の皆様の業務に多くのメリットをもたらします。

これらのメリットは、特に申請・承認業務や外部との契約締結が多い部署で大きな効果を発揮するでしょう。

大学事務での具体的な活用例

電子署名・電子契約は、大学事務の様々な場面で活用が期待できます。

これらの例は一部ですが、現在紙と押印・署名で行われている手続きの多くを電子化できる可能性があります。

電子署名・電子契約導入への第一歩

「自分の部署でも導入してみたいけれど、何から始めれば良いのか分からない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。まずは、以下のステップを参考に、導入検討を進めてみてはいかがでしょうか。

  1. 課題の特定と目標設定: どの業務の非効率性を最も改善したいのか、導入によってどのような状態を目指すのか(例: 特定の申請手続きの完了時間を半分にする、紙の書類を〇〇%削減するなど)を具体的にします。
  2. 情報収集: 電子署名や電子契約に関する基本的な情報を集めます。法的な有効性、セキュリティ、サービスの種類(クラウド型が一般的です)、必要な機能などを理解します。
  3. 対象業務の選定: 最初から全ての業務に導入しようとせず、効果が見えやすく、関係部署も比較的少ない業務(例: 特定の学内申請、部署内の承認プロセスなど)を選んで小さく始めることを検討します。
  4. サービスの比較検討: 提供されている様々な電子契約サービスや、学内で利用しているグループウェアなどに搭載されているワークフロー・電子署名機能を比較します。使いやすさ、費用、セキュリティレベル、他のシステムとの連携可能性などを評価します。
  5. 関係部署との連携: 法務部、情報システム部、対象業務に関連する部署など、関係各所と連携を取りながら検討を進めます。特に法的な取り扱いやシステムの連携については専門部署との協力が不可欠です。
  6. 規程・ルールの整備: 電子契約の導入に伴い、学内の規程や業務フローの見直しが必要となる場合があります。

導入時の注意点

電子署名・電子契約の導入を成功させるためには、いくつかの注意点があります。

まとめ

大学事務における押印・署名業務の電子化は、単に紙をなくすだけでなく、業務効率の大幅な向上、コスト削減、そして場所や時間にとらわれない働き方の実現に貢献する重要なDX推進の一歩です。

「新しいツールは難しそう」「何から始めたら良いか分からない」と感じている方も、まずはご自身の業務の中で「この押印、電子でできたら楽なのに」と思う場面を思い浮かべてみてください。そこから、電子署名・電子契約の活用を検討し始めることで、日々の業務がよりスムーズで快適になる可能性を感じていただけるのではないでしょうか。

このテーマに関心を持たれた方は、ぜひ関連情報の収集や、学内の情報システム部署への相談など、次のステップに進んでみてください。大学DXは、皆様一人ひとりの業務改善の積み重ねによって実現されていきます。